III. 教義

L. ロン ハバードは『ダイアネティックス:心の健康のための現代科学』という本を書いた時、解除反応療法(abreaction therapy)を始めたが、私の知る限り、彼は教会や信条が宗教というものになるとは考えていなかった。 その時点における彼の唯一の狙いは、心を扱うプロセスを利用して、いかに人々を助けるか、という問題であった。 つまり、彼は精神分析医の治療に疑問を持っていたのである。9そこで彼は人々を助け、より有能にすることができる別のシステムを探し、1950年に初めて出版された基本の教科書『ダイアネティックス』の中でそれを説明した。

ハバードはさらなる調査を行うにつれ、人が単なる身体や心ではないことを発見した。 実際には、人は「セイタン」と呼ばれる不滅の精神的存在である。 セイタンは、その人自身であり、その人の身体や心、その他のものでもない。 それは、人が持っているものではなく、その人そのものである。 このセイタンは、無数の過去の生涯を生き、現在の身体の死を超越する。 サイエントロジーにおける前世の概念は、仏教における因果の構造(samskara)と比較することができる。10

サイエントロジーは、「オーディティング」という実践を通じて、このような過去の精神的外傷を扱い、セイタンがこれらの過去の経験を打ち明けることによって、より精神的な存在として自分自身を認識するようになる。

サイエントロジーの教義によれば、セイタンは反応心の中に保管される、現世と前世における外傷的経験という重荷を背負わされてきた。 これらの経験は、彼に痛みを感じさせたり、不合理な行いをさせ続けることがあり、完全な精神的意識と能力を妨げるものである。 サイエントロジーは、「オーディティング」という実践を通じて、このような過去の精神的外傷を扱い、セイタンがこれらの過去の経験を打ち明けることによって、より精神的な存在として自分自身を認識するようになる。 そこで、自分は誰なのか? なぜ自分なのか? というような問いに対する答えを見付ける。 人はオーディティングを通じてより高い精神的意識に達するにつれ、存在のすべての面に関してより完全で、倫理的な人生を送ることを学ぶことができる。それをサイエントロジーでは8つのダイナミックスと呼ぶ。 人は8つのダイナミックスにおいて存在し、生存を求めようとする。それは以下のように説明されている。

第1のダイナミック:個人として生存しようとする衝動。

第2のダイナミック:セックスと家族を通じて生存しようとする衝動。

第3のダイナミック:グループとしての生存。 これにはその人の仕事や学校、クラブなどすべてのグループが含まれる。

第4のダイナミック:全人類のために生存しようとする衝動。

第5のダイナミック:植物や動物など、すべての生命体のために生存しようとする衝動。

第6のダイナミック:物質、エネルギー、空間、時間を含む、物質宇宙の生存の衝動。

第7のダイナミック:精神として、精神的な次元で生存しようとする衝動。

第8のダイナミック:無限や、至高の存在として生存しようとする衝動。

これらのダイナミックスは、それぞれ高いダイナミックがそれより下のものを包含する同心円として考えることができる。 オーディティング(サイエントロジーの主要な実践である個別の精神的カウンセリング)は、すべてのダイナミックスを扱い、精神的な次元や神との関係を含め、それらすべてに関する人の意識と責任感を高める。

至高の存在や神のダイナミックの概念は、サイエントロジーの教義の中に頻出する。 サイエントロジーには、至高の存在の形態に関する特定の教義はないが、その宗教的な教えでは、創造神がすべての存在の極みとする。 神の存在と役割が見られる。例えば「サイエントロジー教会の信条」にはこうある。

この教会の私たちは信じます。

すべての人間は、いかなる民族、肌の色、信条であろうと、平等な権利を与えられて創造されたこと、

すべての人間は、自分自身の宗教的な実践および執行に関する、侵すべからざる権利を持っていること。」

すべての人間は、自分自身の生命に関する、侵すべからざる権利を持っていること、

すべての人間は、自分の正気に関する、侵すべからざる権利を持っていること、

すべての人間は、自分自身の防衛に関する、侵すべからざる権利を持っていること、

すべての人間は、自分自身の組織、教会、政府を、創造したり、選択したり、援助したり、支持したりすることに関する、侵すべからざる権利を持っていること、

すべての人間は、自由に考えること、自由に話すこと、自由に自分自身の意見を書くこと、そして他の人々の意見について反論し、発言し、あるいは書くことに関する、侵すべからざる権利を持っていること、

すべての人間は、自分自身の種の創造に関する、侵すべからざる権利を持っていること、

人間の魂が人間の権利を持っていること、

心の研究および精神的に引き起こされた問題の治癒が、宗教から引き離されたり、非宗教的分野で黙認されるべきではないこと、

そして、神にまで至らないいかなる力も、あからさまにせよ、密かにせよ、これらの権利を保留したり、顧みない権限を持っていないこと。

そしてこの教会の私たちは信じます。

人間は本来善であること。

人間は生存を求めていること、

人間の生存は、 自分自身に依存し、 自分の仲間に依存し、 そして人間がこの宇宙との人類愛を達成することに依存していること。

そして、 この教会の私たちは、 神の法が人間に次のことを禁じると信じます。

人間自身の種を破壊すること、

他の人の正気を破壊すること、

他の人の魂を破壊したり奴隷化すること、

自分の友や自分のグループの生存を破壊したり、減ずること。

そしてこの教会の私たちは信じます。

精神が救われ得ること、

そして精神のみが身体を救い、 あるいは治すことができることを。

オーディティングに加え、サイエントロジストは、L. ロン ハバードの著作の勉強や録音講演を聞くことで啓発を求めるが、その数は膨大である。 この勉強は「トレーニング」と呼ばれ、オーディティングに加えてサイエントロジーのもう一方の重要な宗教的実践である。

サイエントロジーには、ピュアリフィケーション・プログラムもある。それは運動、ビタミン、サウナの組み合わせを利用して、精神的な進歩を妨げる薬物、化学物質、他の不純物を身体から排出する。 これは「バランスの取れた生活」を送ること(キリスト末日聖徒やモルモン教の教会の基調)であり、それは人が8番目の「神のダイナミック」という最高のダイナミックに達するのを助ける。11

サイエントロジーの聖職者も、サイエントロジー独自の儀式や象徴主義を使って、結婚、葬儀、洗礼、聖職者カウンセリングを行う。

サイエントロジーは、教義について他のほとんどの宗教と同じ見解を持っている。 それは人々に客観的な事実を示している。12しかし、永遠に固定されているローマ・カトリック教会のようには「教義」という言葉を使わない(バチカン公会議、1870年)。

ハバードはそれを第一の原則として、知恵はそれを得たいと思っている人のためにあると宣言した。 第二の原則は、知恵は適用できなくてはならないということ、第三の原則は、それが真実であるかは、効果をもたらして初めて、価値があるということである。 L. ロン ハバードは次のように述べている。「サイエントロジーは効果がある限りうまくいくだろう。」13

IV. 結論
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