I. はじめに

本著者は日本人であり、本書はサイエントロジーという宗教と世界の諸宗教との、類似ならびに差異について述べるものである。 本書はまた、一日本人の観点からこれらの類似点、差異点に特別の注意を払うことによって、サイエントロジーを日本の宗教とも比較するものである。

宗教という用語は日本語で、起源を教える、起源のみなもとを教えることを意味する これは日本人の宗教定義だが、必ずしも西洋世界での定義と合致しないかも知れない。 本書の議論ではこの日本的定義を用いることにする。 さらに、日本の法律的議論の言葉を借りるなら、宗教団体がひとつの宗教であるためには、教義の宣布、宗教儀式の施行、信徒の訓練を行うものでなければならないという言い方も加えることができる。 サイエントロジーは、以下の概略で述べるように、これらすべてを実践しているのだ。

「和歌」と呼ばれる31文字の詩歌のひとつに、「分け登る麓の道は多けれど、同じ高嶺の月を見るかな」という歌がある。 これは古い詩歌であり、これはキリスト教が我が国に到来する以前のものである。 ここで言及されていることはすなわち、日本の二大宗教、つまり神道と仏教のことなのだが、人がどの宗門に属していようともその頂点は同じである、ということを謳ったものである。 つまり言わんとするところは、何故に争うかということである。 しかしもっと重要なのは、宗教間にこんなに沢山の類似性があるというのに、何故その差異性にばかり注目するのかということなのである。

サイエントロジーは日本では、多くの図書館にその創始者L. ロン ハバード氏の著作だけでなく、サイエントロジー教会の著作が蔵書されているにもかかわらず、その宗教自体は余り知られていない。 私はこの主題のために30冊ばかりの本を読破したが、この主題についてさらに知識を得たい方々には、これらの本を読まれることをぜひお奨めする。

II. サイエントロジーとは何か?
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